グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



TOP >  外来について >  脊髄神経外来 >  脊髄神経疾患の治療説明

脊髄神経疾患の治療説明



マイクロサージャリー

手術用顕微鏡は、手術している部分を大きく拡大し、明るく影の少ない画像(イメージ)にて手術が可能です。ただ、これを使えばだれでもすぐにすばらしい手術ができるというわけではありません。
脳神経外科では、長年、手術用顕微鏡を活かす技術を蓄積し、それまで不可能と思われた難しい手術を、安全な手術手技として確立してきました。脊椎・脊髄の手術においても、われわれ脳神経外科医が得意とするマイクロサージャリー(手術用顕微鏡を使用した低侵襲な手術)で体に最小限の侵襲で 最大限の神経除圧効果をもたらすことにより、合併症のない満足すべき結果が得られます。
この方法を用いることにより、手術翌日から歩行、食事ができ、 頚部カラーや腰椎コルセットを着け、手術後1~2週間で退院できます。脊椎周辺の筋肉剥離、骨切除もわずかであり、輸血もいりません。この方法を行うことにより手術対象患者さんの年齢も拡大し、90歳くらいまでで元気な人には十分可能です。

頚椎前方除圧固定術

頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、頚椎後縦靭帯骨化症などには、私たちは基本的にはこの方法を第1選択としています。日本では多くの場合首の後ろからの手術がなされていますが、頚部の筋肉はそのほとんどが後ろにあり手術後に頚部痛、頭痛、肩こりがとてもひどくなることがよく経験されます。これは軸性疼痛といわれ、以前から知られている頚椎後方手術の問題点です。
また椎間板ヘルニアなどの病巣は頚髄神経の前にあるため、後ろからでは摘出が極めて困難です。頚椎の前からの手術はそのような問題点がなく、約3cmの切開で可能であり顕微鏡を使用すれば極めて安全にできるマイクロサージャリ-の代表的な手術方法です。

脊髄内視鏡手術

突然の腰痛や坐骨神経痛で発症する腰椎椎間板ヘルニアは、最近では3分の2くらいの症例では内視鏡を使用した手術を行っています。
内視鏡には大きく2つの方法があり、1つは局所麻酔で7mmの内視鏡による経皮的髄核摘出術 (PELD: Percutaneous endoscopic lumbar discectomy) であり 2泊3日の入院で可能です。もう1つの方法は、PELDと同じ手術分類に入りますがMED (Microendoscopic discectomy) と言われ、全身麻酔にて約2cmの内視鏡を使用し 4泊5日程度の入院で行います。
どちらの方法も保険が適応になりますので、特別な個人的な費用は不要です。
MEDは一部の頚椎椎間板ヘルニアの手術にも、応用可能です。本院ではMEDを中心に、内視鏡手術を施行しています。
手術の適応については(どちらの方法が良いか?)外来で詳しくご説明します。

バルーンを使用した椎体形成術

高齢化が進むにつれて骨がもろくなり骨粗鬆症となります。特に高齢の女性に多いのですが、骨粗鬆症になると圧迫骨折になる可能性があります。 従来は長期間安静を強いられていましたが、最近になりBKP(Balloon kyphoplasty)という方法が認可され、短期間の入院で活動可能となりました。

脊椎インスツールメンテーション

・手術前

・ 手術後

脊椎の安定性が欠如していたり、ズレがある場合にはチタン製のケージやスクリューなどの金属を使用する場合があります。頚椎前方固定術では小さなケージを挿入するだけですが、腰椎変性疾患に対しては場合によってはスクリューやプレートによる大きな固定術が必要な場合もあります。
われわれはあくまで患者さんの年齢、病態を考慮し、最大限低侵襲手術を行うよう努力しています。平均寿命が高くなってきていることを考慮すると、将来再手術が必要となることもありえます。その場合にも、問題なく手術ができるよう配慮しています。金属製インプラント使用時には、透視、レントゲン、ナビゲーションなどを用いて安全性に留意しています。手術用顕微鏡は、常時使用します。