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腹腔鏡ヘルニアセンター

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腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(ラパヘル)


-腹腔鏡下鼠径(そけい)ヘルニア修復術は 「ラパヘル」 とも呼ばれています-

鼠経ヘルニア専門外来

腹部ヘルニア専門外来 :診療日 火曜PM・木曜PM ※完全予約制

当院地域医療連携室:0565-53-8700から予約が可能です。


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腹部ヘルニア対して、日本最新の医療材料と医療機器を整備し、最先端の技術と知識による腹腔鏡下治療を提供しています。腹腔鏡下鼠径(そけい)ヘルニア修復術(TAPP法)の詳細をご覧ください。

日本ヘルニア学会の治療ガイドラインを順守しながら、分かりやすい説明を基本としたインフォームドコンセント(十分な説明と同意)を重視し、患者さんのQOL(生活の質)の改善を目指して治療を行っています。

早川医師は、腹腔鏡下鼠径(そけい)ヘルニア修復術(TAPP法)を1993年から開始し、2021年4月の時点で5000例以上執刀・指導して参りました。手術経験に基づき再発や合併症を最小限にする治療を提供します。

腹部手術後の腹腔鏡による腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニアの治療も積極的に行っています。


1. 鼠径(そけい)ヘルニア・「脱腸」 とはどのような病気でしょうか?

「脱腸」と「鼠経(そけい)ヘルニア」は同じ病気です。
一般的には「脱腸」と呼ばれていますが、医学的病名は「鼠経(そけい)ヘルニア」となるのです。
  • 一般に理解されている「脱腸」とは、医学的には「鼠径(そけい)ヘルニア」と呼ばれる病気です。つまり、「鼠経(そけい)ヘルニア」「脱腸」は同じ病気です。医学的には、「ヘルニア」とは「何かの組織が飛び出る」ことをいいます。「鼠径(そけい)ヘルニア」とは、筋肉などが弱くなって、その隙間から小腸などの臓器が外に飛び出してくる病気なのです。

  • ヘルニアと言うと、「腰が痛いですか?」などと言われますが、腰のヘルニアは整形外科の病気です。ヘルニアとして椎間板と呼ばれる組織が飛び出ることで、腰や足に痛みが出る病気です。外科で治療する腸などが飛び出る「鼠径(そけい)ヘルニア」と整形外科の「椎間板ヘルニア」は、まったく異なった病気です。「鼠径(そけい)ヘルニア・脱腸」はおなかの病気、「椎間板ヘルニア」は背中の病気です。 

  • 幼児や小児期では筋肉の成長がまだ不十分ですので、まだ成長していない弱い筋肉の隙間から腸が飛び出る「小児の鼠経(そけい)ヘルニア」があります。子どものヘルニア治療は成人の治療とは異なり、腸の飛び出る出口を糸でしばって閉じるだけで手術が完了します。小児では穴を一時的に閉じれば、子供が成長するとともに完全に治ってしまいます。

  • 成人の「鼠径(そけい)ヘルニア・脱腸」では、加齢に伴って筋肉が弱くなったり、メタボリックなどによりおなかの中の脂肪が増えたり、重いものを持ったりして腹部に大きな力が加わったりすることでおなかの圧力が高まり、筋肉の隙間に穴が開いてしまう場合が最も多いといわれています。成人では穴を閉じるとともに、周囲の組織を補強する必要があります。

  • いくつかの筋肉と筋肉のつなぎ目は、すべての人がたくさん持っています。従って、同時にヘルニア・脱腸となる穴が2~3個ある患者さんもあります。女性では「鼠経(そけい)ヘルニア・脱腸」は男性より少ない傾向にありますが、過去の妊娠などが影響して起こる穴もあります。要するに、「鼠径(そけい)ヘルニア・脱腸」とは、男性でも女性でも下腹部の筋肉が緩んだり弱くなったりすることで、筋肉のつなぎ目の部位に穴が開いてトンネルができ、おなかの中の腸管や卵巣、脂肪などが飛び出してくる病気なのです。

2.「鼠径(そけい)ヘルニア」 をそのまま放置するとどうなりますか?

  • 「鼠経(そけい)ヘルニア・脱腸」を放置していると、図1のように穴は時間とともに次第に大きくなり、体の外にある睾丸に向かってだんだん下がって大きく膨らんで行きます。穴が大きくなればたくさんの腸が飛び出すようになり、時には飛び出た腸管がおなかの中に戻らなくなることがあります。このような状態をカントン(嵌頓)といいます。

図1

  • カントン(嵌頓)が起こると腸閉塞や腸管の血流障害を起こす場合や、女性では卵巣がはまってしまう場合があります。突然激しくおなかが痛くなり、救急車で来院されて緊急手術になる患者さんが年間に何人もいらっしゃいます。最悪の場合には、カントン(嵌頓)して飛び出た腸や卵巣が腐ってしまい、腸管や卵巣の切除、さらには命にかかわる緊急手術となる場合もあります。

  • 「鼠経(そけい)ヘルニア・脱腸」はおなかの弱い部分に穴が開いているだけの病気であり、腸などの臓器がカントン(嵌頓)しなければ日常的には痛みを伴いません。カントン(嵌頓)しなければ決して怖い病気ではありませんが、痛みがないので放置される場合も多いと思われます。しかしながら、決して「鼠径(そけい)ヘルニア・脱腸」は自然に治ることはなく、ゆっくりと進行して穴は大きく、深くなっていきます。治療法は手術しかありません。

  • 脱腸帯と呼ばれるヘルニアバンドで圧迫固定している患者さんもいらっしゃいますが、脱腸帯が時にはカントン(嵌頓)を誘発する危険性もあり注意が必要です。早めに待機的に手術治療を行う場合は、この穴を閉じるだけの手術になりますが、痛みが出てカントン(嵌頓)状態で緊急手術をする場合には、腸を切り取らなければいけない場合もあり、大手術となってしまうこともあるのです。

  • 下腹部の膨らみがあったり「鼠径(そけい)ヘルニア」が疑われたりする時は、専門の医療機関に一度相談してください。

立っているときの「鼠径(そけい)ヘルニア・脱腸」の状態

  • 図2は立っているときの状態です。おなかの中の腸が膨らんで外に出ています。ねじれたり、血流障害がなければ一般的にあまり痛みはありません。腸管などの脱出で下腹部が膨らんでいるだけであれば、おなかの中の腸がヘルニアの穴の中に移動しただけですので、大きな心配はありません。

  • 「鼠径(そけい)ヘルニア・脱腸」では、脱出した小腸などの臓器が圧迫される違和感や立位・歩行時に時々起こる痛み、引っ張られているような不快感を伴う場合があります。自覚症状のある場合は手術治療の対象となりますので、専門の医療機関に一度相談して下さい。

図2

  • 移動した腸の病気ではなく、穴が開いている袋に腸が移動しただけの状態です。無理に押し込むことはせずに、そのままの状態で生活していても大丈夫です。

寝ているときの「鼠径(そけい)ヘルニア・脱腸」の状態

  • 図3は寝ている状態です。一般的に、仰向けに寝ることで腸管などはおなかの中に戻りますので、痛みや不快感が全くなくなってしまうのが「鼠径(そけい)ヘルニア・脱腸」の特徴です。

  • 寝ている状態では腹部は平たんになっていますが、おなかに力を入れると、動画の様におなかの中の腸管などが脱出してきて膨隆してきます。

図3

  • 引っ張られるようなおなかの痛みが継続する場合や、膨らんだ腸がいつもと違って戻らなくなった場合には、すぐさま仰向けに寝て膝を曲げ、おなかの力を抜いて腸管を戻しておくことをおすすめします。このような自覚症状のある場合は、早めの手術治療の対象となります。早期に専門の医療機関に一度相談して下さい。

カントン(嵌頓)した「鼠径(そけい)ヘルニア・脱腸」の状態

  • 図4カントン(嵌頓)した状態です。腸管などが出たままになり、血流障害で腸管の色が変わってしまっています。このような患者さんは救急車で来院され、緊急手術となることが多くあります。 この場合、一般的な治療ではなく腸管を切除するなどの命にかかわるような大きな手術になってしまうこともあります。

図4

  • 下腹部で膨らんでいる部分の痛みが継続しているときに、仰向けに寝ても腸管脱出の膨らみが戻らなくて強い痛みがあるときには、できる限り早期に病院で診察を受けてください。早期に治療すれば、腸管の壊死や腹膜炎などの緊急手術を防止することができます。

3. 鼠径(そけい)ヘルニア (脱腸)の治療法とは?

「鼠径(そけい)ヘルニア・脱腸」は、薬では治療できません。治療法は手術だけです。
  • 手術にはいくつかの方法があり、病院によってさまざま手術法が選択されています。当院は「腹腔鏡下鼠経(そけい)ヘルニア手術(TAPP法)」・「ラパヘル」を中心に治療をしている専門病院です。患者さんの状態によっては、「鼠径部切開メッシュ法」を行っています。手術の方法は異なっても、筋肉のつなぎ目に開いた穴を閉じて周囲の筋肉を補強して修復するという目的は同じです。

  • 従来の「鼠径部切開メッシュ法」は、下腹部に7~10cm程切開して治療します。手術後はある程度の痛みや比較的強い突っ張り感がしばらく続く場合もあります。一般的には、一カ月ほど激しい運動禁止制限がかかります。一般的には、腰椎麻酔、局所麻酔での手術となります。

  • 「腹腔鏡下鼠経(そけい)ヘルニア手術(TAPP法)」・「ラパヘル」は、基本的に5、5、3mmの非常に小さな穴から内視鏡を使用して、おなかの中から治療する手術です。全身麻酔で眠っている間に、1時間前後で手術は終了します。傷が小さいことから、手術後の痛みが少なく、最小の切開創で手術を行いますので、傷跡はほとんど残りません。傷が小さいため術後の回復が早く、手術後の痛みが極めて少ないことが特徴です。切開手術とは異なり、手術後3~5日目にはゴルフやジョギング、畑仕事などが開始できます。

4.「腹腔鏡下鼠径(そけい)ヘルニア手術(TAPP法)」・「ラパヘル」とはどのような手術でしょうか?

当院の標準的手術では他施設とは異なり、非常に小さな3個(5、5、3mm)の穴だけの超細径化手術を行っています。

図5

直径5㎜の非常に小さな穴から腹腔鏡カメラ(内視鏡)を入れる。
おなかの中に炭酸ガス(CO2)を注入して腹壁を持ち上げて大きな空間を作る。
内部を詳細に観察し、腸などの臓器が飛び出る穴(脱腸の出口)の位置や種類を正確に診断する。

図6

細く長い手術器具(鉗子)を使用して腹腔内の操作を行う。

図7

医療用の薄い網(メッシュ)のシートを小さな孔からおなかの中に入れる。
おなかの中でそのメッシュシートを筋肉の欠損している穴の部分に内側から大きく覆うようにあてて閉じる。
メッシュが移動しないように、吸収されるクリップでメッシュシートを一時的に固定する。

お腹の中から腹腔鏡でみたヘルニアの穴

図8

図9

図10

図11

図8、9、10、11は腹腔鏡にておなかの中からみたヘルニア(脱腸)の穴です。正確に穴の位置が診断でき、さまざまなヘルニアの種類が確認できます。正確な診断ができますので、再発などの合併症が少なくなるのです。再発などの2度目の手術がないような確実は手術を行っています。


図12のこの網(メッシュ)は、特殊な医療用のポリプロピレンやポリエステルでできており、世界で一番薄いメッシュですが、非常に丈夫にできています。50年以上体内に入れておいても大丈夫な素材でできています。取り換える必要はなく、一生体の中に入れておいても大丈夫です。

図12

  • 図13の様に、タイヤのパンクを内側から直すように、皮膚や筋肉を切り開くことなく、おなかの中から裏打ちするようにメッシュをあてて修復する極めて理にかなった治療法です。

図13

  • 図14は固定用のクリップです。広げた網(メッシュ)が移動することが考えられますので、網(メッシュ)を縫合するのではなく、しばらくすると溶けてなくなる吸収性の小さなクリップで筋肉などに網(メッシュ)を固定します。おなかの内側には「痛い」と感じる痛覚神経が基本的にありませんので、クリップ固定部や網(メッシュ)展開部の痛みはほとんどありません。

図14

  • 鼠径ヘルニアの治療は、網(メッシュ)により筋肉の緩みを固定する手術ですので、筋肉がある程度固定されることで手術後しばらくはある程度の突っ張り感があります。痛みは非常に少ない手術となっていますので、手術後に鎮痛剤をまったく使用しなかった患者さんも半数以上いらっしゃいます。

  • 手術後の痛みは極めて少なく、傷跡はほとんど残りません。手術に使用した3個の穴の切開した皮膚は、手術後に皮膚用接着剤で固定しますので、手術終了時からすぐに入浴できる状態になります。手術後の消毒・抜糸などのための通院は必要ありません。術後には1~2週間前後と3カ月前後に1回ずつ受診していただきます。

手術直後の皮膚の傷

図15

図16

  • 図15は超細径化手術終了時のおなかの傷跡です。皮膚用接着剤で固定されています。手術後に消毒や抜糸は必要なく、手術翌日から入浴も可能です。

  • 図16は手術後1年のおなかの傷跡です。時間がたてば、傷跡はほとんど消えて分からなくなってしまい、傷跡がないことと、違和感などが残らないことから、手術をしたことも忘れてしまう患者さんがほとんどです。

5.「腹腔鏡下鼠径(そけい)ヘルニア手術(TAPP法)」・「ラパヘル」の入院前後の経過

  • おへその近くの小さな穴から手術を行いますので、手術の前に陰毛などの毛を剃る必要は一切ありません。

  • この手術は非常に繊細な操作が必要で、難易度の高い手術です。手術中に少しでも患者さんが動くと危険ですので、全身麻酔で眠っていただきながら安全・確実な手術を行っています。

  • 全身麻酔の手術ですが、鼻から入れる胃の管やおしっこの管なども一般的には使用していません。両側治療の場合や再発例などの難しい特殊なヘルニアの場合には必要となることがあります。

  • 手術室では、麻酔の導入や手術の準備に1時間ほどかかります。手術時間は一般的には60分前後です。手術後は1時間ほどかけてゆっくり麻酔を覚まします。手術は1時間前後ですが、麻酔の関係もあり手術室滞在時間は約4時間前後となります。手術の難易度や両側治療の有無により手術時間は前後する場合があります。

  • 手術後は麻酔が完全に覚めてから病室に戻りますので、手術後は当日からすぐにトイレに歩いて行くことができます。おなかの壁を治療するだけの手術ですので、麻酔が覚めれば1~2時間後には飲食は開始できます。

  • 手術時間も短く傷が小さいため術後の回復は早く、手術後の痛みも少ないことから退院後は買い物や散歩などの日常生活に早めに復帰して下さい。早く日常生活に戻り、動きながらメッシュが馴染んで固定されていくことが推奨されます。切開手術とは異なり、手術後3~5日目にはゴルフやジョギング、畑仕事などが開始できます。

  • 一般的には手術前日に入院し、翌日が手術となります。手術翌日の血液検査・レントゲン検査などに異常がなければ翌日でも退院可能となりますが、術後の経過により患者さんのご希望に合わせて退院していただきます。早めの入院希望の患者さんや入院日数を短くしたい患者さんは、診察時にご相談ください。できる限りご希望に沿うように検討いたします。

6.「腹腔鏡下鼠径(そけい)ヘルニア手術(TAPP法)」・「ラパヘル」の手術成績

  • ヘルニア専門医である早川医師の5000例以上の担当患者さんでは、手術後の再発は非常に少なく、0.2%(1000人に2人)以下となっています。日本における一般病院の再発率は3~5%(1000人に30~50人)程度と言われていますので、全国レベルの20分の1以下の再発率となっています。

  • 全国の合併症率は8.1%(1000人に81名)程度と言われていますが、早川医師の合併症率は1.0%(1000人に10名)以下となっています。

  • 最高齢95歳以上の患者さん4名を含めた5000名以上の一般的な「腹腔鏡下鼠径(そけい)ヘルニア手術(TAPP法)」・「ラパヘル」の中で、手術後感染にて網(メッシュ)を除去した例は現時点ではありません。手術による死亡や輸血を必要とする大きな合併症も一例もありません。非常に良い成績で、安全に手術が行われています。

  • 担当医師の経験と技術、病院の体制などで手術成績(再発率、合併症率)は大きく異なっています。鼠径(そけい)ヘルニアの手術治療では、手術に向けて丁寧な説明をしていただける専門施設や担当医を選択することが大切です。
鼠径(そけい)ヘルニアの手術治療は、病院により得意とする手術法と治療法や経過が異なります。ヘルニアの種類、年齢、全身状態、既往症などにより手術法や手術内容が異なることもあります。一生に何回も鼠径(そけい)ヘルニア手術は受けることはありませんが、再発をさせずに合併症の少ない手術を初回に受けることが非常に大切です。名豊病院の腹腔鏡ヘルニア専門外来では、患者さんとご相談しながら患者さんが希望されるもっとも良い治療方法を選択しています。いつでもお気軽にご相談ください。
医療法人純正会 名豊病院
腹腔鏡ヘルニアセンター
(発行:令和3年4月1日)

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